精巣上体(副睾丸)炎の不適切な治療は男性不妊症の原因になることがある?
精巣上体(副睾丸)の炎症には、急性のものと慢性のものがあります。
急性精巣上体炎は発熱や疼痛、腫張を伴い陰嚢皮膚は発赤し、多くの場合浮腫状になっています。発熱は39℃前後まで達することがあります。精巣上体には後部尿道から精管を介して逆行性に病原微生物が精巣上体に到達して炎症を起こすことがあるわけです。
原因微生物としては、大腸菌、エンテロバクター、緑膿菌などの細菌が多いのですが、最近急増しているクラミジアも無視することはできません。
慢性精巣上体炎は症状に乏しく、患者さんは陰嚢内のしこりとして気付くことが多いようです。この慢性炎症は急性精巣上体炎から移行して成立します。
精巣上体の中には非常に細い精巣上体管が多数入っています。この精巣上体管は精巣上体からでる部分では一本の精管になります。不妊を目的としたパイプカットはこの精管を結紮・切断するわけです。
精管や精巣上体管が炎症を起こした場合、その治癒過程で精子が通れないくらいに内腔が狭くなったり、すっかり詰まってしまうことがあります。精巣上体管の部分的な閉塞は他の通路がある程度代用しますが、左右両側性の閉塞は閉塞性の男性不妊症(無精子症や乏精子症)の原因になります。
適切な治療をしなければならないことが理解できたと思います。
精巣上体(副睾丸)炎(304001)
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