性感染症(性病)(STD)

KIMURA Urological Clinic, Department of Urology
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経口避妊薬ピルの使用は性感染症の増加には関係ない?

 経口避妊薬であるピルが日本でも使用できるようになりました。性感染症とピルとの関係をみたデータは日本には未だありません。米国では1960年半ばにピルが使用できるようになりましたが、その結果性感染症の頻度は1970年頃から増加してきています。

他にも考えておかなければならないことは、ピルには黄体ホルモンと卵胞ホルモンが含まれていますが、卵胞ホルモン(エストロゲン)には骨盤内の愁訴を軽減する働きがあります。
クラミジアなどの性感染症で骨盤内感染がある場合には、それなりの症状を伴うわけですが、エストロゲンがその症状を抑えてしまう危険性があります。いわゆる無症候性の性感染症になりうるということを考えておいて下さい。

性の考え方が欧米諸国と日本とでは必ずしも一致しないと思います。正解はしばらく待ちましょう。

性感染症(301021)(00/09/07)

 

 

 

 

44 男性が性感染症に感染するのは、いわゆる風俗店で働いている女性(CSW)との何らかの性的な関係によることがほとんどである?

時代の変化とともに、性生活にも大きな変化がおきているようです。女性の性感染症は風俗店などで働いている女性(CSW=commercial sex worker)特有の感染症であると誤解している方が多いので取り上げました。性感染症で外来を受診した男性の患者さんには、立場上感染経路を確認しますが、最近多くなっている答えは、「風俗店に行ったのではなく、普通の女性とセックスしたのですが」という点です。

最近の調査によると、たまたま妊娠中絶を受けた未婚女性のクラミジア感染陽性率はCSW女性の陽性率を上回っております。{(財)性の健康医学財団会頭の熊本悦明先生(札幌医大名誉教授)のデータによる}。
未婚妊婦と(CSW)のクラミジア感染陽性率を25歳未満でみてみますと、
16−19歳で未婚女性25%であるのに対しCSWで(23%)、20−24歳では19%と(16%)になっており、むしろCSWの方が少なくなっております。女性がクラミジアに感染している場合の症状の発現率が20%と少なく、5人中4人が自覚症状がないことを考えてみると納得できるデータでもあります。正解は?)としました。

性感染症(301020)(00/08/06)

 

 

 

 

43 クラミジア感染症ではほとんどの場合、排尿痛や尿道口からの膿の分泌、帯下感(女性)などの自覚症状を伴う?

クラミジア感染症の症状は男性では、排尿痛、残尿感などの膀胱炎症状、会陰部鈍痛などの前立腺炎症状、外尿道口からの膿の分泌などが主なものです。女性では膀胱炎症状の他にも、帯下感の増加、下腹痛などがあります。
しかし症状を伴わない場合が意外に多いので皆さんの注意を喚起したいと思います。男性では約半数に症状が認められないようです。特に問題になるのが女性で、症状を伴うのは約20%、クラミジア感染者の5人中4人に症状がないということになります。女性では問題42で指摘しましたように、子宮外妊娠や不妊症の原因にもなるので注意しなければなりません。
これは自覚症状を認めた患者さんのパートナーを検査した結果明らかになったデータです。

性感染症(301019)(00/07/30)

 

 

 

42 女性がクラミジアに感染しても子宮外妊娠の原因になるとは考えられない?

女性の感染は男性とは異なり腹腔内への感染があるので注意しなければなりません。子宮から卵管を介して卵巣周囲の腹膜炎を併発したりします。時には肝臓周囲あたりまで感染が拡大して急性腹症(腹部の激痛)を呈することもあります。

女性のクラミジア感染症の一時的な影響としては、子宮頚管炎、子宮付属器炎、骨盤腹膜炎、時には上でふれた肝周囲膿瘍もあります。その他、絨毛膜炎や羊膜炎を起こすとプロスタグランディンが関与するので流早産の原因にもなるわけです。
感染が長引くと二次的な影響がみられるようになります。卵管周囲癒着や卵管狭窄などが進行すると卵管妊娠に結びつくわけです。産婦人科の先生の報告では、卵管妊娠した患者さんの約半数に卵管部分からクラミジアDNAが証明されたという報告もあります。
女性のみならず男性もこの重大性をよく考えていただいて性感染症には十分注意していただきたいと思います。

性感染症(301018)(00/07/16)

 

 

 

 

38 男性がクラミジアに感染していない場合でも女性がクラミジアに感染することがある?

女性がクラミジアのような性感染症に感染すると、一般的にはカップルである男性から感染したと考えるのが常識のようです。そのようにしておく方が丸くおさまることなのかもしれません。しかし本当にそうなのでしょうか。

男性の検査でクラミジア抗原や抗体が全く証明されない、しかも検尿や前立腺分泌液の顕微鏡検査でも感染症は認められない。このような男性から女性にクラミジアが感染することはあり得ません。女性側に感染源となる何らかの理由があるはずです。
しかし外来診療レベルでは、男性の患者さんに女性がクラミジアに感染している他の男性と何らかの性的交渉があるはずだと話をすることはありません。ぼんやりとした理由を話すことで結構うまくいっていると思われる夫婦やカップルがほとんどなのです。
それではクラミジアに感染している女性と性的関係のある男性パートナーがクラミジアに感染しないこともあるのか?理由はいろんな要因が絡んで複雑ですが、あり得ることです。

問題23(00/01/28)でも取り上げているのですが、観点を変えて出題してみました。

性感染症(081017)(00/06/11)

 

 

 

28 性感染症はクラミジアや淋病、梅毒がほとんどで他の疾患は無視してもよさそうである?

●最近の性感染症(STD)の中で一番多いのは、男女共にクラミジアによる尿道炎や子宮頸管炎が最も多く、次に男性では淋菌性尿道炎、性器ヘルペス、尖圭コンジローム、女性では性器ヘルペス、尖形コンジローム、淋菌性子宮頸管炎と続きます。梅毒は男女ともその次になっております。(厚生省STD疫学調査から)

●性感染症の分類は病原体からみると次のようになります。昔は寄生虫、原虫が多かったのですが最近は少なくなっております。

病原体 疾患
寄生虫 毛虱症、疥癬
原虫 トリコモナス膣炎
細菌 梅毒、淋菌感染症(淋菌性尿道炎、子宮頸管炎など)、軟性下疳、鼠径肉芽腫、
マイコプラズマ 非淋菌性尿道炎、膣炎
クラミジア 鼠径リンパ肉芽腫、尿道炎、子宮頸管炎、骨盤内感染症など
ウィルス 陰部伝染性軟属腫、性器ヘルペス、伝染性単核症、サイトメガロウィルス感染症、エイズ、尖圭コンジローマ、B型肝炎など


性感染症(301016)(00/03/10)

 

 

 

 

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性感染症の感染を防ぐために、あらかじめ治療薬を内服することは?

●最近、泌尿器科の診療をしていて困った問題に直面しております。他の人に処方された抗菌剤を譲り受けるという問題です。

クラミジアなどの性感染症の治療のために投与された薬剤を他人からもらって、性行為の直前に内服するというケースです。そのような薬剤を内服したにもかかわらず尿路感染症になって受診したという患者さんを散見します。

●無駄な抗菌剤の使用は耐性菌の増加に結びつきます。このような行為を繰り返していると一時的には効果を発揮することもあるでしょうが、その後の感染を考えると恐ろしい事態になりかねません。性感染症以外の感染症になった場合、抗菌剤を乱用していると目的とする細菌の薬剤感受性が極端に落ちてきます。薬剤の効果が悪くなるというわけです。
個人レベルでは治癒しにくくなっても、各個人の責任として仕方のないことですが、不特定多数の方に感染の可能性がある性感染症全体のことを考えると大きな問題です。現在使用されている治療薬の有効性を下げてしまう可能性を秘めております。
一部で流行っているようなので敢えて取り上げました。絶対やめるべきです。


性感染症(301015)(00/02/11)

 

 

 

 

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夫婦間で感染している性感染症の原因は夫側にあることが圧倒的に多い?

●女性が婦人科を受診してクラミジア感染などの性病をを指摘されると、彼女の夫またはセックスパートナーは泌尿器科を受診するように勧められます。厳密な検査の結果、明らかな性感染症を認めることもあれば、尿路感染そのものを完全に否定せざるを得ない場合もあります。そこで、この点に注目しなければ、医学の進歩はありません。時代と共に性行動パターンも変化していくのでしょう。
検査した男性は性感染症に感染しているのだが、現在の検査法では証明することが出来ないだけでないのか?と言われることも覚悟しております。泌尿器科の専門医としては非常に心苦しいのですが、百歩譲って敢えて否定はしません。

●私は最近の二ヶ月間で、女性が性感染症に感染しているという夫またはセックスパートナーの検査をした中で、完全に性感染症を否定せざるを得ない方が16名おりました。この16名は明らかにパートナー以外の女性との性行為を否定しておりました。長年、泌尿器科疾患に悩む男性患者を診ておりますと、真偽のほどはそれほど狂わないと考えております。
そのうち4名の方のパートナー(女性)が一緒に来院していましたので、男性には待合室で待機してもらって、女性のみと面接することが出来ました。他の12名の方のパートナーは来院していないので分かりません。

●あなたの夫またはパートナーには、「性感染症の兆候は全くないのですが、あなたは今一緒に来院している方以外の方と性行為をした(する)機会はありませんでしたか?」
全員が、「ありません」という返事でした。

それから私の問診が始まりました。「男性には言わない」、「性感染症は自然発生的に発病することはあり得ない」、「あなたのように自然発生したとすると世界的にも例がないので、医師として学会で報告する義務がある」、「・・・・・・」・・・・・と、5分から10分位お話をすると、4名の女性の方全員が、実は「パートナー以外の男性と性行為を持っている」と告白してくれました。

●これらの僅かの実例のみで結論を出すつもりは毛頭ありません。しかし、私がおかしいと判断した4名全員が感染ルートを告白してくれたことは重要なことです。正解を○とするわけにはいきません。としておきます。

付け加えておきますが、女性の学歴やパートナーの学歴などには何らの関係もありませんでした。

●そこで問題になるのが、女性がクラミジアなどの性感染症に感染していても、男性に感染しなかったのは何故か、ということだろうと思います。
男性に性感染症を証明できなかった他の可能性として、感染初期の男性では排尿などで体外に流れてしまうことがあるでしょう。その他、男性が受診する前に、性感染症とは意識しなくても、他の部位の炎症性疾患で性感染症にも有効な抗菌剤を投与されて、本人が知らない間に治癒していたのではないのか、という可能性です。
しかし、前述した16名の男性では、その可能性は確実に否定しております。


性感染症(301013)(00/01/28)

 

 

 

 

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淋菌やクラミジアは咽頭や直腸にも感染する。

咽頭への感染はクラミジア感染者の約30%前後に認められます(男女とも)。淋菌の咽頭感染は5-10%に認められますが、女性の方がやや多くなっております。

直腸感染は男性の淋菌・クラミジア感染者ではほとんど認められませんが、女性では淋菌・クラミジアとも約50%の感染者に確認されます。女性に直腸感染が多いのは、女性の外性器の構造が、解剖学的に男性と異なることによるものと考えられます。

性感染症(301011)(99/12/17) 

 

 

 

 

 

 

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最近の性感染症(性病)で多いのは、淋病と梅毒である。

最近は梅毒と淋病の頻度は減ってきておりますが、クラミジア感染症が急増しております。次いでヘルペス、淋病の順になります。
症状が少なく、若い女性に増えていることが、このような順位の逆転に関係していると考えられます。正しい性教育と社会教育が欠かせない状況になっています。

性感染症(301010)(99/11/26)


 

 

 

 

 

 

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クラミジアの感染経路は性行為が大部分である。

男女間の性行動のパターンはこの十年間で大きく変わりつつあります。最近の傾向として、口または舌を使ったセックス(フェラチオ、クニリングス)が増えております。

クラミジアなどの性感染症は問題2や7で一部掲載しておりますように、口腔や咽頭に感染し、その後ピンポン感染をしていくということを理解しなければなりません。
最近の調査では、通常の性行為(膣と陰茎のみを使うセックス)で起こる性感染症の割合は3割を下回るようです。

最近のメイルでの質問に、『セックスをしなければ性感染症になることはないのでしょうか』とありました。セックスの定義を通常の性行為と限定しているとすれば、通常のセックスをしなくとも、フェラチオやクニリングスでも性感染症に感染することになります。

性感染症(301009)(99/11/19)

 

 

 

 

 

 

 

7
口を使ったセックスで、性器から口に性感染症(性病)が感染する可能性がある。

淋病、ヘルペス、クラミジア、梅毒などは口腔や咽頭に感染します。

性感染症(301008)(99/10/22)

 

 

3
若い女性の性感染症(淋病、梅毒、クラミジア、ヘルペス)は、単なる膀胱炎症状がほとんどで、尿道や腟だけにみられる炎症である。

性感染症は、女性の骨盤内炎症性疾患、子宮頚癌、不妊、分娩後の子宮内膜炎などの合併症をひきおこします。また、母親の性感染症は出生時低体重、新生児梅毒、新生児淋菌性眼炎の原因にもなります。

性感染症(301002)(99/10/15)

 

 

 

 

 

2
口を使ったセックスで、口から性器に性感染症(性病)が感染する可能性がある。

口腔内に感染した性感染症がフェラチオで相手の性器にうつることがあります。最近このような患者さんが増えておりますので、あえて取り上げました。

性感染症(301007)(99/10/15)