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暮しと健康 2010年3月号

精巣(睾丸)打撲
痛みはないが受診すべきか。放置するとどうなる?

58歳・男性。精巣(睾丸)を打撲したら内出血してしまいました。痛みはないのですが、受診すべきでしょうか。放置するとなにか支障がありますか。家では基本的に冷やすほうがいいのでしょうか。どのように冷やすのがいいですか。  (埼玉県 N.U)

Answer                        木村クリニック泌尿器科院長 木村正一

応急処置で患部を冷やす   1時間以上治まらなければ受診を

精巣(睾丸)は陰嚢の中にあり、主に男性ホルモンと精子をつくる働きをしています。ほかの臓器のように骨格や筋層で保護されていませんので、スポーツや事故などによって損傷を受けやすい臓器といえます。
ただ、精巣はスポンジ状に形成されていますので、ある程度の外圧には耐えられるようになっています。
しかし、時には外圧に耐えられず、精巣が一部破裂(精巣を覆っている白膜の損傷)してしまうことがあります。この場合は大量の血液が陰嚢内に流入することになるので、早期に白膜の縫合を行わなければなりません。

重症度によっては危険。自分で触って判断する

精巣の損傷は重症度によって、
@鈍的な外傷
A穿通(穴があいた状態)を伴う外傷
B精巣が陰嚢外へ飛び出してしまうような外傷
と大きく三つに分類することができます、
AやBの場合は陰嚢外への出血や激痛、嘔吐を伴うため医療機関を受診することになります。放置しておくと、感染症や精巣捻転、後に精巣が萎縮してしまう危険性もあります。損傷後の精巣を良好な状態で保持するにはできるだけ早期の処置が重要です。
ご相談の内容は「内出血はあるが、痛みはない・・」ということですので、@の鈍的な外傷に該当することになります。
重症度を判断するためにはご自分で精巣を触ってみることも大切です。
精巣の損傷が軽度の場合、激痛や嘔吐などがあっても、安静にして、氷のうなどで冷やしていれば、1時間程度で改善傾向は認められます。もし1時間以上たっても治まらないようなら、医療機関を受診しなければなりません。

白膜の損傷を確認して適切な処置をすること

白膜の損傷を確認するには医療機関での超音波検査などが有効です。適切な処置を行わないと後に精巣が萎縮してしまう危険性があります。その結果、性機能が低下したり、精子形成が損なわれることになります。
しかし一般的に患者さんの様子を見ていると、どうやら、陰嚢だけの損傷では医療機関を受診しないことが多いようです。
陰嚢にある筋肉は肉様膜と呼ばれますが、血管が豊富で、損傷による血腫の一因にもなります。
応急処置として、患部を冷やすことは有効です。血管が収縮することで、痛みの緩和や内出をある程度抑えることはできます。氷のうや保冷剤、冷凍庫で凍らせたアイスパックなどは使えると思います。継続して冷やす場合、冷たくなりすぎないようにしましょう。
しかし、経過を見る場合はくれぐれも後悔することのないように、これまでの説明を参考にして判断してください。