排尿異常

KIMURA Urological Clinic, Department of Urology

56 比較的高齢ご婦人の尿失禁の原因は筋力の低下によることがほとんどであって、薬剤の副作用によることはない?
尿失禁(802001)(01/01/31)

今回は比較的高齢のご婦人の尿失禁についての問題です。尿失禁には必ず原因があるわけで、その原因を究明しないままに治療をすることは一番危険です。

尿失禁の分類は1)腹圧性、2)切迫性、3)反射性、4)溢流性などに分類されるのが一般的です。他にも尿が全て漏れてしまう尿失禁があります。腹圧性尿失禁の基本は膀胱頸部の閉鎖がゆるむために起こります。膀胱頸部の閉鎖はα受容体のコントロール下におかれています。
原因の一つに薬剤による副作用があります。高齢者は複数の診療科から投薬を受けていることがあります。 高血圧症の治療に用いるα1-遮断剤が有名です。

最近も高血圧症の治療を受けている81歳の女性が尿失禁で悩んで、内科の先生から紹介されてきました。この女性はα1-遮断剤を他の薬剤に変えてもらって、すっかり尿失禁はなくなりました。薬はその薬の持つ特性を利用しているわけです。逆に軽度の前立腺肥大症で排尿がスムーズにいかない患者さんにこのα1-遮断剤を使ってもらうと尿が出やすくなることもあるわけです。

 

 

 

 

40 小児の夜尿症は小学校に入学する頃まで様子をみてもよい?
夜尿症(801001)(00/06/25) X

小児の夜尿症にはどのように対応したらよいのか、お親御さんに聞かれることがあります。夜尿症といっても程度の問題があります。週に2?3回漏らすという場合を考えまみます。

睡眠中でも排尿したくなれば目が覚めてトイレに行くようになる排尿習慣は、排尿をコントロールする脳(大脳ー脳幹)の中枢神経系の発達とともに4?5歳頃までには出来上がります。この中枢神経系は、個人差がありますが、4歳頃までに発達します。
?歳を過ぎても週に2?3回夜尿が続く場合は一度泌尿器科の専門医を受診した方がよいでしょう。その結果脳の発達に伴って1?2年で夜尿が無くなると判断された場合はもんだいありません。その間一時的に薬剤の使用によって夜尿を止めておくことも可能です。

小児の膀胱容量は年齢とともに大きくなります。夜間の尿量が膀胱容量以内であれば理論的に夜尿は無いことになります。しかし、小児の膀胱は生まれつき生理的に不安定膀胱の状態で、年齢とともに安定膀胱に移行していきます。
睡眠には特殊な睡眠パターンがあります。深い眠りと浅い眠りが毎晩数回の周期でおこっています。しかし、夜尿をする子供は浅い眠りでも目が覚めずに夜尿をしてしまいます。これは年齢とともに改善していきます。
次に夜間尿量の問題です。夜間には脳下垂体というところから抗利尿ホルモンという尿量を減らすホルモンが分泌されています。このホルモンの分泌が未だ不十分な小児では、夜間尿量が比較的多くなって夜尿をしてしまうこともあります。
その他、下の子供ができたとか、いろんなストレスが夜尿症の原因になったり、脊髄に異常が認められたりする場合もあります

何れにしても、小学校入学時頃の夜尿症は子供の精神発育上も好ましいことではありません。原因を明らかにしておく必要はあります。