両側の急性精巣(睾丸)炎は男性不妊症の原因になることがある?
急性精巣炎は流行性耳下腺炎ウイルスによることが圧倒的に多い。感染経路は全身の感染巣から血行性に感染します。
一般細菌などが起炎菌となることはほとんどありません。
思春期以降に発症した流行性耳下腺炎患者の30%が精巣炎を併発し、そのうち両側性の精巣炎は10-30%であると考えられております。
無精子症の原因となる精細胞障害は血流障害によるものです。罹患側精巣の約30%で精細管萎縮になり精細胞は消失してしまいます。両側性の精巣炎は不妊症になることが多いのはこのためです。男性ホルモンの分泌に関与する間質細胞障害は比較的少ないようです。
治療は精巣の血流を保つような方法を考えなければなりません。泌尿器科で適切な治療を行えば精細胞障害もある程度軽減することは可能です。
ワクチンは流行性耳下腺炎の発症を防ぐためには有効ですが、精巣炎を併発してしまってからでは当然のことながら効果はありません。
鑑別しなければならない疾患としては、急性精巣上体(副睾丸)炎、精巣捻転症、外傷による精巣損傷などがあります。
精巣捻転症は精巣への血流が遮断されますので、緊急手術で回転を戻し、固定手術をしなければなりません。放置しておくと精巣が萎縮してしまいます。
男性不妊(501003)
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